台湾専利法の改正施行のお知らせ - 2013.01.01作成 - 遠碩專利師事務所
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台湾専利法の改正施行のお知らせ - 2013.01.01作成


台湾専利法の改正は、立法院で2011年の年末に審議通過された後、同年12月21日総統公布されました。知的財産局(特許庁)の公表により、この改正法は2013年1月1日から施行するとなります。
改正法は計159条になります。旧専利法と対照によりますと、改正法においては、旧専利法から36条を削除されており、新設された法文が15条あり、一部改正してなった条文が108条あります。特許法の改正要点は以下通りです。

 

1、 グレースピリオド主張事由の調整(第22条第3項)
今回の改正により、新規性喪失例外の適用範囲を「刊行物の公開」まで拡大しております。出願の前に、一般の商業上の目的で発行された刊行物に掲載された場合であっても、新規性喪失例外規定の適用対象となります。出願人の本意による刊行物での発表を事由としても、発表日から6ヶ月以内にグレースピリオドを主張することができるようになりました。
また、a.)実験による公開、b.) 刊行物による公開、c.) 政府主催又は政府認可の展覧会による公開 及び d.) 出願人の意思に反して漏洩したことによる公開という4つの事由のいずれかに合致する場合、その事実が発生した日より 6 ヶ月以内に出願し、且つ出願時の願書にその事実を明記すれば新規性喪失となりません。

2、 権利回復制度の導入(第29、52、72、96条)
故意によらず、出願と同時に優先権を主張していないこと、または指定期間内に証書代若しくは特許年金を納付していないことにより、失権となった場合は、回復を請求することで、その優先権主張の回復を認める規定や、回復の請求と共に料金の追納により特許権の回復を認める規定を新設します。

3、 出願権証明書類の提出不要
法改正により、出願権証明書類(例えば、譲渡証)の提出が不要になりました。従って、出願日が 2013 年 1 月 1 日以後の出願に対しては、譲渡証の提出が不要となりました。経過措置により、出願日が 2013 年 1 月 1 日以前の出願であっても、譲渡証の補充期限日が 2013 年 1 月 1 日以後に来る出願であれば、改正法が適用され、同様に譲渡証の提出が不要となります。

4、出願書類の調整(第23~25条)
法改正により、特許請求の範囲と要約書は、別々に作成しなければなりません。また、出願に必要な書類は願書、明細書、特許請求の範囲、要約書、必要な図面の5種類です。

5、寄託証明書類の提出期間の延長(第27、39条)
法改正により、微生物又は生物材料の寄託の受理だけでは寄託証明書を発行せず、生存実験が成功した後に、始めて生存証明を兼ねる寄託証明書を発行することとなります。出願の際に願書に寄託の事実を記載する必要がなくなり、法定期間内に寄託証明書類を提出すれば良いこととなりました。
寄託証明書類の提出期間が出願日から4ヶ月に延長され、審査請求の際に生存証明の提出不要になりました。優先権の主張を伴って出願をする場合は、寄託証明書類の提出期間が最も先の優先日から16ヶ月に延長されます。

6、証書料及び年金追納による専利権権利の回復制度の導入
(1)証書料及び第 1 年度年金の追納による専利権の回復
法改正により、特許査定書送達日の翌日から 3 ヶ月以内に、証書料及び第 1 年度の年金を納付しなく、納付すべき期間内に納付をしなかったものは、公告されずに、その専利権は初めから存在しなかったものとされるが、その場合に回復を請求できる救済手続が設けられていいます。従って、納付期限の経過後 6 ヶ月以内であれば、証書料及び第 1 年度年金の 2 倍額を追納することにより専利権の回復が認められる。

(2) 第 2 年度以降の年金追納による専利権の回復
法改正により、第 2 年度以降の年金について、猶予期限を 徒過すると専利権が消滅するとされますが、その場合に回復を請求できる救済手続が設けられて います。すなわち、猶予期限の経過後 1 年以内であれば、3 倍額の年金を追納することにより専利権の回復が認められます。

 

7、国際消尽原則の採用(第59、60条)
改正法第60条に、国内の薬物検査登記許可証または海外で医薬販売許可証を取得することを目的として従事した研究、実験及びその必要な行為に及ばないと、国際消尽の原則の適用が明文化されたことなど、特許権範囲が及ばない事項が新訂されましたので、法改正により、国際消尽原則を採用しております。

8、医薬又は農薬に係わる特許権存続期間の延長の緩和
医薬または農薬に係わる特許期間の延長についての規定を緩和に改正しました。(第53、54、56条)例えば、許可証取得するため特許発明を実施できない期間が2年以上の制限を解除し、特許権満了になったが延長審査結果が出さないときに延長許可と見なし、延長効力は有効成分及び用途による限定の範囲内に限ります。

9、特許権許諾の区分(第62条)
法改正により、特許権の許諾が専用実施権及び通常実施権に区分することになり、複数の質権を設定した場合、順位は登録順によって判断することになります。(第62条)
また、専用実施権者はその許諾された実施権を他人に再許諾をすることができるが、通常実施権者は特許権者(専用実施権者)の同意を得る限り再許諾を行うことができるになりました。(第63条)

10、強制許諾の事由や手続きの改正(第87~89条
法改正により、強制許諾の事由として、公の場合は、国の緊急危難、その他の重大緊急状況を含んでおり、私的場合は、公益を増進するための非営利的実施、実施による先立つ特許権への侵害が回避不可能と相当な経済的価値が含有する重要的改良技術、特許権者の不正競争または競争制限が裁判所によって判決されまたは公平取引委員会によって処分されましたことを含んでいます。手続きの面では、合理的商業条件での許諾協議、かなりの期間を経過しても締結していないことを前提とし、強制許諾の裁定を請求し、特許権者へ指定期間内に答弁の通知に改正されました。また、補償金の裁定制度を導入しました。


 11、医薬品を需求国に輸出できる規定の新設(第90、91条)
開発途上国と後発開発途上国の公衆衛生の問題解決を協力する上で、当該国家に必要な医薬品を提供するため、改正法においては、医薬品特許権の強制許諾を申請することで申請人は強制許諾により医薬品を製造する上にその医薬品を需求する国に輸出することができる規定が新設されました。

 

12、一部請求項に対する無効審判を請求できる規定の新設(第73条)
法改正により、一部の請求項について無効審判を請求することができる規定(第73条)を新設し、かつ職権による権利取消制度。従って、特許請求の範囲における全ての請求項の中、一部の請求項に対しても、無効審判を請求することができます。

13、2年目以降の年金追納の低減(第94条)
登録された専利権を維持するためには、各年度の納付期限までに年金を納付しなければならないが、法改正により、納付すべき期間内に納付をしなかった場合も、納付期限 の経過後 6 ヶ月猶予期間以内に割増年金を追納することができる。例えば、納付期間満了後、6ヶ月以内に追納する場合には、遅滞した月を単位に一定な比率(月割増20%)で倍算した(多くとも正規年金の倍までの金額)金額を納付することができます。

14、損害賠償の請求要件や計算方式の改正(第96~98条)
法改正により、損害賠償の請求は、権利侵害行為者は主観的な故意又は過失があることを必要とします(第96)。
損害賠償の計算方式は、民法第216条の規定による(特許権者の実施により獲得した通常利益-侵害の実施により獲得した利益(差引いた差額))、侵害行為人の実施により獲得した利益のほかに、許諾実施により獲得した利益(ロイヤリティ)を損害賠償金額としてもいいです。(第97条) 
改正法によりますと、特許に係わる物に特許証の番号を表示しなければならないが、物での表示不可能の場合、ラベル、包装での表示、他の顕著な方式で他人を認識させるように表示できます。(第98条)

15、一発明創作二出願の可能(第32条)
法改正により、同一人が同一考案について特許と実用新案を同日に出願することができますが、このように出願した場合に、特許査定前には出願人は特許と実用新案を二者択一しなければなりません。

16、意匠の改正(第121、127、129条)
法改正により、部分意匠、コンピュータ画像(Icons)、グラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)及び組物意匠を保護対象として意匠出願をすることができるようになります。

 

17、分割出願期間の緩和(第34条)
従来では、分割出願の手続きは特許査定又は拒絶査定が出されるまでに行わなければならないと制限されていましたが、改正法において、出願人は、特許査定書送達後30日以内に分割出願を提出することができる規定を新設しました(第34条)。これにより、初審査の段階において特許査定を受けてから 30 日以内であれば、分割手続きを行うことができるとなります。

18、情報提供制度の導入(改正法施行細則第 39 条)
改正法施行細則第 39 条により、特許出願が公開公報に掲載されてから特許が査定されるまでに、第三者がその特許出願に特許を与えるべきではないと考えた場合、意見又は理由の陳述に関係書類を添付して特許庁へ提出することができます。但し、特許庁はその提供資料の運用方法又は運用結果を提供者へ知らせません。尚、匿名による情報提供は受理されません。

19、外国語書面出願制度における書面言語の制限
従来、外国語明細書について言語の制限がありませんでしたが、法改正により、日本語、英語を含む 9ヶ国の言語(PCT 出願の公開言語と同じ)による明細書のみが認められます。また、改正法では、外国語書面の出願制度を利用した場合、出願後に外国語明細書を根拠として誤訳訂正を行うことができることも明文化されました。

20、自発的補正の提出期間制限の解除
改正法により、出願人が自発的補正の提出期間制限が解消されました。


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